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いつも晴天の心

 何故か花見の時期は雨が降ったり、風が強かったりして、桜を見て楽しむよりは屋内で酒を酌み交わす方が多く、今年もご多分にもれず友人の家で花見をさせてもらいました。そして次の日の天気は快晴で皮肉なものです。でも、晴天は気持ちの良いものです。

 二十数年前、東京の駒込にある布教の家東京寮に、一年間入らせてもらいました。住いと食事は与えて頂き、毎日布教をする為の合宿寮です。出身地や年齢の異なる十人の寮生が共同生活をしました。

 毎日の生活パターンは同じで次のようでした。朝5時起床、神殿等(寮の宿舎は東京教務支庁に併設されていたので)の掃除する。6時朝づとめ、7時朝食、9時布教に出発する。17時帰宅、撤饌及び神殿等の掃除、18時夕づとめ、19時夕食、21時就寝、とまあ大体こんな風でした。

 特別なことがない限り、毎日布教に出るのですが、出発の時教務支庁の玄関前で全員が揃ったところで、寮生の一人が掛け声を掛けます。この掛け声は交代で順番に行います。たとえば、「今日も一日頑張ろう」とか、「にをいがけ百軒目指して頑張ろう」とか、色々自分の好きなことを言うのですが、ある一人の寮生が毎回のように言ったのが、「いつも晴天の心で頑張ろう」という言葉でした。

 この言葉を言った彼は、いつもおとなしく、話し合いをしてもほとんど自分の意見を言うことも無く、影の薄い存在でした。戸別訪問が苦手らしく、この掛け声をかけて門から外に出ると、すぐUターンして裏口から寮の宿舎に帰る事がたびたびあったそうです。誰でも戸別訪問が好きな人はいないのです、いやいやながらも重い腰を上げて、訪問先の玄関の戸を開けるのです。そして断られて気持ちが落ち込んで、それでも気を取り直し次の家の戸を開けるのです。最初はにこやかな顔で話をするのですが、断られることが続くといつしか顔がこわばって、暗〜い顔に変わっていきます。だから笑顔を取り戻すように、たとえ作り笑いであってもにこやかにと、鏡の前で引きつった顔を直すのです。これは、訪問販売の営業マンの方も同じ事を言っていました。

 このように、みんなが頑張って外に出ているのに、一人彼だけはこっそりと寮に帰っていたようなのです。その彼が不思議にも「晴天の心」を口にしていたことを思い出しました。今どうしているのか、会いたいですね。

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